2016 年 72 巻 6 号 p. II_195-II_203
環境問題に対する取り組みは,あらゆる分野における重要な課題となっている.水道分野でも省エネルギー化に関する様々な施策が実施されている.特に,水道水を輸送する過程において多くの電力使用量を要するため,当該プロセスでの電力量削減が課題になっている.本研究では,東京都水道局の送配水システムを対象にした電力使用量の削減を目的に,最適化モデルの提案,並びにシミュレーションを試みた.第一に,対象地域の一部を想定した仮想ネットワークを対象にした検討を行った.配水池の運用条件(初期貯水量並びにローテーション時間)の差異が及ぼす電力使用量への影響を明らかにした.第二に,管路の二重化や浄水場・給水所を新設・拡充した場合の将来ネットワークに対する検討を行った.最新の改良モデルを適用し,安定給水の確保とエネルギー削減がどのようにバランスし得るのかを明らかにした.