土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第50巻
深刻な水不足下における家庭レベルでの複合的対策:ネパール国カトマンズ市における事例
Binaya PASAKHALAHidenori HARADAShigeo FUJIIShuhei TANAKABinaya R. SHIVAKOTISangam SHRESTHA
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2013 年 69 巻 7 号 p. III_73-III_81

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抄録

 多くの途上国では水不足が深刻だが,政府の対応は不十分で,家庭レベルでの対応が不可欠である.本稿ではネパール国カトマンズ市を例に,家庭レベルでの対応策と,それに影響を与える社会経済要因を明らかにし,雑排水・雨水の潜在的利用可能量を推計した.世帯特性・水源・利用目的をアンケートで217世帯にて,用途別詳細水使用量をダイアリー法で32世帯にて調査した.結果,水道の給水時間が短い世帯ほど,多くの水源を複合使用し,世帯収入は水源選択の主要因であった.水使用量は平均36.9±11.1 L/人/日であり,低収入層は,風呂・洗濯水量を減らし,炊事・衛生等より生活に必須となる水量を確保していた.最低必要水量(50 L/人/日)を通年で満たすには水道では不足し,水再利用と10,000 L の雨水貯槽容量をもつ雨水利用が必要と計算された.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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