2012 年 68 巻 6 号 p. II_15-II_23
都市化の進展とともに都市の生物多様性の重要性が認知され,都市活動と生態系との関連性から都市計画を見直すことの必要性が指摘されている.そこで本研究は森林に関する生態系サービスへの依存度を生態系面積単位で評価するエコロジカル・フットプリントを基にしたフレームワーク(Ecosystem Service Use: ESU)を用いて,大阪府の市区町村レベルで都市活動の主な活動形態である民生業務部門活動の生態系サービス依存度を評価・分析した.その結果,対象とした9業種によってFESU(Forest Ecosystem Service Use)の合計値は大きく異なったが,ほぼ全ての業種で森林生態系のCO2吸収サービスへの依存度は高かった.また,市区町村別での生態系サービス依存度の分析では大阪市中央区と北区の2区の生態系サービス依存度が非常に大きい値を示した.各市区町村の民生業務部門の業種構成割合,民生業務部門の従業員数あたりのFESU,森林生態系サービスへの域外依存度を変数としてクラスタ分類を行ったところ,それぞれ特徴を持つ5つの地域に分類することが出来た.