2012 年 68 巻 7 号 p. III_443-III_451
豚ふん尿の熱処理によるメタン発酵性能への影響を評価するために、バッチおよび連続式のメタン発酵を行い、熱処理温度がメタン発酵に及ぼす影響を評価した。その結果、200℃まではVSSの可溶化が進むが、高分子の溶存性TOC成分のVFA化はあまり進まないことが分かった。熱処理温度が高くなるとメタン発酵開始時期およびメタン発酵速度が遅くなり、250℃で処理した場合はメタン発酵しなかった。150℃で熱処理した場合、投入VSあたりメタン発生量は1.2倍になり、熱処理による効果が見られた。エネルギー回収の観点からは、熱処理を行う場合は不利であり、SS濃度を2.3倍以上に濃縮した液を熱処理することで、熱処理なしに比べて正味のエネルギー回収が多くなると見積もられた。