2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_87-780_96
高力ボルトL型引張継手は, 摩擦接合に比べて構造的にも美観的にも優れた継手となる場合があるため, 箱型断面部材接合部等への適用法の確立が期待されている. しかし, これまでL型引張継手の力学的挙動を詳細に検討した研究は少なく, L型引張継手が実構造物に採用されるに至っていないのが現状である. L型引張継手は, T型引張継手と違い, 構造の非対称性, すなわちティーウェブ板とボルト軸心との偏心により, ティーウェブ板には面外曲げが発生し, それがティーフランジ板の変形挙動および付加ボルト軸力の発生状況に大きな影響を与えると考えられる. そこで, 本研究では, 母材の曲げ変形が終局限界状態に至るまでの力学的挙動, 特に継手面接触力と離間との関係に与える影響を解析的に検討している.