2012 年 32 巻 1 号 p. 045-051
国民の2人に1人が,がんにかかり,3人に1人が,がんで亡くなっている.質の高い緩和ケアを提供するためには,がん対策基本法に基づく政策を着実に推進していくことが必要である.そのため,厚生労働省は,平成20(2008)年から緩和ケアの基本的な知識の習得を目的とし,がん医療に従事する医師等に対する研修を積極的に推進してきた.緩和ケアチームの医師は,原則としてこの研修を修了した上で診療に当たり,患者の診療を担う医師,看護師及び薬剤師と共同で緩和ケア診療実施計画書を作成し,その内容を患者に説明の上で交付している.本稿において,緩和ケアチームにおける麻酔科医の重要性について行政の立場で見解を述べた.