日本農村医学会雑誌
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問診及び心電図所見による有意狭窄病変を有する不安定狭心症患者の診断
左右田 昌彦柴田 康孝舟橋 恵二野田 由美子西尾 諭美香後藤 武雄田中 克己斉藤 二三夫
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キーワード: 不安定狭心症, 心電図, 問診
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1997 年 46 巻 2 号 p. 148-153

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抄録

連続231例の不安定狭心症患者を対象に症状, 受診時心電図及び安定化後の症候制約トレッドミル運動試験心電図所見が有意狭窄を有する不安定狭心症患者を診断しうるかを検討した。胸部症状を訴えて来院した患者を詳細な問診及び理学的所見により不安定狭心症と診断し, 更に患者を悪化型, 新規労作型及び安静時型に分類した。受診時心電図による不安定狭心症全例での有意狭窄例の診断感度は55.2%, 特異度は63.2%と不十分であった。病型別有意狭窄例の診断感度及び特異度は, 悪化型では52.2%, 50.0%, 新規労作型では46.7%, 57.1%, 安静時型では69.0%, 68.3%であった。受診時心電図は安静時型の診断に有用であるが, 悪化型と新規労作型では有用ではなかった。運動試験心電図による有意狭窄例の診断能は, 運動試験可能であった全例では感度66.0%, 特異度89.2%と有用であった。病型別有意狭窄例の診断感度及び特異度は, 悪化型では80.0%, 66.7%, 新規労作型では70.8%, 87.8%と有用であった。安静時型では診断感度は48.3%と低いが特異度が91.4%と高く有意狭窄例の除外診断に有用であった。本研究に於いて, 詳細な問診, 受診時心電図所見及びトレッドミル運動試験心電図所見が有意狭窄を有する不安定狭心症患者の診断に有用であることが示された。

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