日本臨床免疫学会会誌
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総説
ドパミン受容体シグナルによる破骨細胞の分化制御
花見 健太郎中野 和久田中 良哉
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2013 年 36 巻 1 号 p. 35-39

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抄録

神経系及び神経伝達物質が免疫系のみならず,骨代謝へも影響を与えている事が近年報告されている.代表的な自己免疫性炎症疾患である関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis ; RA)の罹患関節では破骨細胞による骨吸収亢進の病態が形成されるが,中枢神経障害を合併するRAでは麻痺側の骨破壊抑制が知られている.しかしながら,神経系と骨破壊病態におけるメカニズムに関しては十分には解明されていない.中枢神経における主要な神経伝達物質であるドパミンは,D1~D5のサブタイプを持つ7回膜貫通型の受容体を介してシグナルを伝達する.我々はこれまでにヒト単球由来樹状細胞でのドパミン合成・貯蔵とナイーブT細胞への放出機構とTh17分化偏向の機構,RA滑膜においてはD1様受容体阻害がIL6-Th17軸を抑制して関節破壊抑効果を示す事などを解明してきた.本稿では神経系と骨代謝との関連について概説し,ドパミン受容体シグナルによるヒト破骨細胞への直接的な影響について検討を行った結果も報告する.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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