日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
肺高血圧症を合併した小児全身性硬化症の一女児例
黒澤 るみ子梅林 宏明今川 智之片倉 茂樹森 雅亮相原 雄幸横田 俊平
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2006 年 29 巻 6 号 p. 378-383

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抄録

  症例は7歳女児.6歳時に顔面・四肢の色素沈着,皮膚硬化,労作時呼吸困難があり前医に入院.症状・検査所見から,肺高血圧症を合併した全身性硬化症と診断され,7歳時に当科紹介入院.入院時,全身が褐色に色素沈着し,四肢の皮膚硬化,仮面様顔貌あり,手指・膝関節に屈曲制限,指尖部に潰瘍を認めた.Raynaud現象が陽性であった.抗核抗体は陽性であったが,その他の自己抗体は陰性であった.心エコー検査で肺高血圧症を認めた.入院後,メチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法および経静脈的シクロホスファミド(IVCY)パルス療法を開始し,後療法にプレドニゾロン(PSL)15 mg/日とミゾリビン(MZB)の内服を行った.約4ヶ月で皮膚硬化は改善し,四肢の屈曲制限もほぼ消失した.肺高血圧症は一時的に進行したが(増悪時肺動脈圧70 mmHg),経口PGI2製剤の内服,低流量酸素投与,抗凝固療法を開始し,肺動脈圧は34 mmHgと改善した.IVCYパルス療法は2年間行い,以後PSLとMZBの内服を継続しているが,病状は安定している.本症例は早期からmPSL療法・IVCYパルス療法を行い,肺高血圧症に対し経口PGI2製剤の内服を併用し,皮膚症状,肺高血圧症とも改善し,寛解を維持することが可能であった.

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© 2006 日本臨床免疫学会
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