日本臨床免疫学会会誌
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特集:がん免疫チェックポイント阻害剤の免疫性副作用
免疫チェックポイント阻害剤による内分泌副作用の臨床とそのメカニズム
岩間 信太郎有馬 寛
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2017 年 40 巻 2 号 p. 90-94

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抄録

  免疫チェックポイント阻害剤はT細胞の活性化を介して抗腫瘍作用を示すモノクローナル抗体で,がん免疫療法として使用される.細胞傷害性T細胞抗原(CTLA)-4に対するモノクローナル抗体,programmed cell death(PD)-1およびそのリガンドであるPD-L1に対する抗体が開発されており,悪性黒色腫,非小細胞肺癌,腎細胞癌を含む様々な癌種においてその有効性が示されている.進行性の悪性腫瘍における有効性の一方で,これらの薬剤では免疫機序を介すると考えられる副作用(免疫関連副作用;irAE)の発生が問題となっている.irAEは内分泌,呼吸器,消化管,皮膚,神経,筋など全身の様々な部位で認められる.irAEは従来の殺細胞性抗がん剤による副作用とは異なる特徴を有することから,免疫チェックポイント阻害剤を安全に使用するためには,irAEの特徴を理解して適切にマネジメントすることが極めて重要である.本総説では,内分泌系のirAEの中で特に下垂体障害に関する臨床的特徴を解説し,その病態について考察する.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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