日本臨床免疫学会会誌
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小児の皮膚型結節性多発動脈炎の1例と溶連菌感染の関与の検討
篠本 雅人茂田 幸子河島 尚志柏木 保代小石 洋和小林 楠和武隈 孝治星加 明徳
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1999 年 22 巻 3 号 p. 144-150

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抄録

結節性多発動脈炎(Polyarteritis Nodosa以下PANと略す)は多臓器の中小動脈における壊死性血管炎で小児においても稀な疾患である. PANには全身型PANと内臓器の重篤な血管炎を伴わず比較的良好な経過をとる皮膚限局性の皮膚型PANがある. PANの病因は明らかではないが,ウイルス感染,細菌感染が先行例の報告も多く,先行感染が原因の1因子とも考えられている.成人ではB型肝炎ウイルス感染と発症の関与が報告されているが,小児では上気道の先行感染に続発する例が多く,特にA群β溶連菌の先行感染の関与が報告されている.我々は,溶連菌感染の関与が疑われた小児の皮膚型PANの1例を検討し,小児の皮膚型PANと溶連菌感染との関与を文献的に考察した.内外の文献の集計にて小児の皮膚型PANは33例中25例に溶連菌との関与が疑えた.小児の皮膚型PANでは溶連菌感染の関与についてさらに検討がなされるべきであると考えた.

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