高濃度の硫化水素を含むビルピット排水は,悪臭や管渠の腐食を引き起こすことが知られており,下水道管理者を悩ませる問題の1つである.
ビルピット排水により発生する悪臭は,下水道を経由して,雨水桝やマンホールなどの開口部から空気中に漏洩するため,発生源の特定が難しい.さらには,下水道管理者として原因者を取り締まる術がなく,下水道施設で発生する悪臭とビルピット貯留水の水質の関係も明らかでない.
本稿では,ビルピットの貯留水が下水道施設に硫化水素を発生させるまでの過程について実態調査を行い,その発生の傾向を明らかにした.