症例は49歳,女性.山地で両大腿部に擦過傷を負った2日後に熱発・振戦・嘔気・一過性痙攣が出現し入院した.入院後数時間でショック,急性腎不全状態となり左大腿部の皮疹は中心が壊死様に変化していた.抗ショック治療,抗菌治療を開始し左大腿内側部にデブリードマン処置など集中治療を行った後全身状態は改善された.後日血液などよりA群β溶連菌が検出され診断確定に至った.劇症型溶連菌感染症は四肢など軟部組織に壊死性炎症を起こし急速にショックや多臓器不全に陥る重篤な疾患である.本症例は早期に診断・治療が行われ良好な経過が得られたと考え報告した.