2001 年 90 巻 1 号 p. 145-150
皮膚と内臓硬化の両者を同時に来す代表的な疾患として全身性強皮症を取り上げ,皮膚および内臓諸臓器の線維化の機構について最近の知見について概説した.
全身性強皮症の発症機構として様々な機序が考えられているが,免疫異常,コラーゲン代謝異常,血管異常,細胞成長因子・サイトカイン異常などが複雑に関与していると考えられている.近年出産歴のある,女性例では胎児由来の血液幹細胞が超“chronic GVHD”を誘導し本症が発症をするとする“microchimerism仮説”が注目されている.また我々は, TGF-βが線維化を誘導し, CTGFが線維化を維持するという二段階線維化を誘導し, CTGFが線維化を維持するという二段階線維化仮説を提唱しており,この説についても詳しく紹介したい.