日本内科学会雑誌
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B型肝炎ウイルスの新しい治療
佐田 通夫神代 龍吉
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1999 年 88 巻 4 号 p. 713-717

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抄録

interferonはB型慢性肝炎における唯一の抗ウイルス療法であったが,持続的なウイルス駆除の成功は極めて稀で,次の新しい治療が望まれている. lamivudineやfamciclovirなどのnucreoside analog,副腎皮質ホルモンやpropagermaniumを利用した免疫調節療法,さらには遺伝子治療などへと戦略が拡がってきた.一方, B型肝炎ウイルス(HBV) DNAの測定感度の上昇やウイルス変異の診断が可能になり, HBV感染の病態を詳細かつ経時的にモニタリングしながらの治療が可能になった. B型肝炎ウイルス多彩な臨床像を示す.特に肝移植療法後のB型肝炎ウイルスの再増殖に対してこれまでのHIGに加すてlamivudineやfamciclovirが用いられるようになり,いまやB型肝硬変は肝移植の禁忌ではなくなった.現在のところ単剤で持続感染したHBVを消失させることのできる薬物はない.そのため上記の薬物がいろいろに組み合わせて用いられている.

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