日本内科学会雑誌
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ラ島抗体陽性の糖尿病を合併した再発性多発性軟骨炎の1例 特に新しい薬物療法-コルヒチンの使用について
若松 延昭高沢 哲也涌井 一郎八幡 和明津田 晶子百都 健梨本 いづみ伊藤 正毅柴田 昭鈴木 利光
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1986 年 75 巻 10 号 p. 1457-1462

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抄録

ラ島細胞抗体(islet cell antibodies, ICA)陽性の糖尿病を持つ再発性軟骨炎(relapsing polychondritis, RP)の1例を報告した.患者は64才,男性.肩関節痛に始まり,両耳介の発赤腫脹,紅彩強膜炎,両側の感音性難聴が2年間の内に相ついで出現し,糖尿病の発見を契機として当科に入院した.入院時,上述の身体的所見の他,軽度の白血球増加,血沈の亢進, CRP3+,免疫複合体陽性, ICA陽性を認め,耳介軟骨生検材料の光顕,電顕像では軟骨細胞の消失,高度のリンパ球,形質細胞の浸潤を認めた.治療としてコルヒチン0.6mg→1mg/日を投与し,数週内に劇的な症状の改善を認めた. RPの治療にコルヒチンを用いた報告は本邦になく,試みるべき方法と考え報告した.

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