日本内科学会雑誌
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数種条件下における赤血球糖代謝にかんする研究
石田 一哉
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1968 年 57 巻 1 号 p. 88-104

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抄録

ヒト赤血球buffer浮遊液にin vitroでglucoseあるいはgalactoseを添加incubateし, medium中のhexoseの減少, lactateの増加を測定し,赤血球の糖代謝変動が脂肪肝発見の有力な一助となることを知り,その理由について考察した.(1)赤血球の代謝変動は,生体におけるそれをよく反映することを数種hormioneのin vivoおよびin vitroによる実験より知り得た.(2)赤血球細胞膜が-SH基化合物dihydrolipoic acidにより抑制せられ,またこれをlipoic acidあるいはinsulinが保護するがethylalcoholには直接このような作用のないことを知つた.(3)2, 4-dinitrophenol,あるいはG-strophantinをin vivoにてrabbitに使用し,その赤血球糖代謝より膜ATPaseの作用を探つてみた.その結果,上記基礎実験と肝障害時の臨床実験より,赤血球によるglucose, galactoseの代謝は脂肪肝の場合にきわめて特異的に障害せられ,肝炎,肝硬変,肝癌では抑制はみられないことを知つた.

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