酸素消費量および酸溶性分画の分離測定を正常ラット腎, DOCA,蛋白同化ステロイド,およびアミノヌクレオシド投与時のラット腎について検討し,とくに肝のそれと比較して腎の機能と関連した代謝特異性につき考察した.腎切片ではイオン輸送を阻害すると酸素消費およびATPの代謝回転の低下がみられ,腎のエネルギー生成には輸送と関連した部分の大きいことが示唆された.肝・腎の呼吸活性およびヌクレオチドの動態を, 32Pをトレーサ一として測定した結果,腎では呼吸活性が高いのにATPへの32Pのとりこみが著明に遅延することがみられ,さらに蛋白同化ステロイド,およびDOCAを負荷したさいの腎の代謝の変動から,腎における輸送的仕事へのATP以外の高エネルギー中間体の利用が推測された.