日本内科学会雑誌
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周期性四肢麻痺にかんする臨床的研究第III報
特発性周期性四肢麻痺と甲状腺中毒性周期性四肢麻痺にかんする比較研究total exchangeable sodium, potassiumおよびtotal body waterについて
紫芝 良昌
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1965 年 54 巻 3 号 p. 215-220

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抄録

特発性周期性四肢麻痺8例,甲状腺中毒性周期性四肢麻痺8例,甲状腺機能亢進症7例,正常健康人8例に, 24Na, 42K, 3H-waterを用いて, total exchangeable sodium (Nae), total exchangeable potassium (Ke), total body water (TBW)の同時測定を行しない, TBWから, lean body mass (LBM)を算出して, Ke/LBM, Nae/LBMを,各群について比較した.また一部の症例には, Ke, Nae, TBWの測定と同時に筋生検を行ない, Na, K, Cl,水骨含量を測定し, chloride spaceから筋細胞内K濃度を算出し, Ke/LBMと,筋細胞内K濃度の相関を調べた.特発性周期性四肢麻痺では, Ke/LBMは正常と比較して有意に低く, Nae/LBMは正常群と同様の値である.甲状腺中毒性周期性四肢麻痺および甲状腺機能亢進症では, Ke/LBMは低く, Nae/LBMは正常と比較して有意に高い値を示す. Nae/LBMに有意な増加のない例では, Ke/LBMと筋細胞K濃度の間に,正の相関が成立ち, Ke/LBM値から,筋細胞内K濃度を推定することができる。この結果に基づいて,各例における筋細胞内K濃度を推定すると,特発性周期性四肢麻痺では正常より低く,甲状腺中毒性周期性四肢麻痺では正常,甲状腺機能亢進症では正常または低下していると推測される.

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