2015 年 104 巻 3 号 p. 590-592
症例は70歳,女性.慢性C型肝炎,肝硬変があり,肝細胞癌に対して肝動脈化学塞栓術(transcatheter arterial chemoembolization:TACE),経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)を繰り返し施行されていた.増悪する呼吸困難を主訴に来院し,右大量胸水を認めた.肝性胸水と診断し,胸腔ドレーン留置後,連日1,500 ml程度の胸水排液を認めた.経鼻的持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)併用下で胸膜癒着術を2回行い,第40病日でドレーン抜去可能となった.肝性胸水に対する胸膜癒着術は難渋することが多いとされるが,CPAP併用により難治性胸水の胸膜癒着術に成功した症例を経験した.