日本内科学会雑誌
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ネフローゼ症候群に併発したクリプトコッカス髄膜炎の1例
李 世哲荒井 寿朗松木 駿浅野 誠一西川 武二中島 壮太
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1970 年 59 巻 7 号 p. 623-627

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抄録

46才,女性. 3年前に尿所見から腎炎といわれ, 1年後腎生検の結果慢性腎炎と診断され3カ月前全身浮腫および発熱を認め,ステロイド薬および利尿薬の持続投与をうけ軽快していたが, 1カ月前から39°C台の発熱および頭痛を認めたので当院に転院した.入院後も発熱,頭痛が持続し,尿,髄液よりCryptococcus neoformansを検出したためAmphotericin Bを投与したが,計50mg投与時に死亡した.剖検で脳実質,脳脊髄膜,腎にCryptococcus neoformansを確認したが,腎にはAmphotericin Bによると思われる中毒性病変を認めなかつた.本症発病の誘因としては,基礎疾患の存在,ステロイド薬,抗生薬,抗癌薬などの投与が考えられるが,本例はネフローゼ症候群のステロイド薬投与中に,本症を併発したものと思われる.

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