2013 年 102 巻 1 号 p. 150-152
症例は75歳,男性.慢性腎不全,高カリウム血症で6年前よりポリスチレンスルホン酸カルシウム(calcium polystyrene sulfonate:CPS)を内服していた.腹痛・嘔吐で近医を受診し,イレウスの診断で紹介された.回腸に5cm長の狭窄と口側の腸管拡張を認め,減圧の後に回腸部分切除術を施行した.切除標本で狭窄部に腫瘍や癒着はなく,炎症細胞浸潤,線維化,肉芽,粘膜下層にCPSと考えられる好塩基性異物と異物型巨細胞を認め,CPSの腸管への沈着により狭窄・イレウスを来した稀な一例と考えられた.