パーソナリティ研究
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討論
パーソナリティ心理学教育における問題と今後の可能性について
――日本パーソナリティ心理学会会員の問題意識の抽出による検討
酒井 久実代大久保 智生鈴木 麻里子友田 貴子
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2005 年 14 巻 1 号 p. 113-124

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抄録

本研究はパーソナリティ心理学教育における問題点を明らかにし,今後の望ましいあり方について検討することを目的として行われた.日本パーソナリティ心理学会会員を対象とした質問紙調査からパーソナリティ心理学関連の授業を担当している会員は53%,受講した経験がある会員は63%にすぎず,大学におけるパーソナリティ心理学教育は充実しているとは言えない状況であった.またパーソナリティ心理学と他の関連領域を包括した授業のあり方への言及とパーソナリティ心理学の独自性が確立できていないことの指摘がみられた.パーソナリティ心理学教育に関する大会シンポジウムでは,教養教育,経営人事アセスメント,心理臨床におけるパーソナリティ心理学について話題提供がなされた.調査と話題提供で示された視点から,一般教養としてのパーソナリティ心理学は自己理解教育,心理学の入門としての役割があること,専門教育としては学際性の追求と独自性の確立という2つの方向性があることが示された.パーソナリティ理論を幅広く教えることの必要性,関係性を重視したパーソナリティ理論を取り入れることにより臨床心理学や産業・組織心理学の基礎としての有用性が高められることが考察された.

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© 2005 日本パーソナリティ心理学会
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