1994 年 43 巻 2 号 p. 125-129
次亜リン酸塩を還元剤として作製した無電解ニッケル皮膜の深さ方向の元素分布について, グリム放電管を用いた発光分光分析により解析した.このメッキ層中には還元剤に起因するリンが約8%含まれる.ニッケル皮膜中のリンの濃度分布をその発光強度により調べたところ, 表面付近にリンが偏在している部分があることが分かった.又, 鋼板上に作製した無電解ニッケル皮膜に熱処理を施し, その前後での皮膜構造の変化について測定した.その結果, 750℃, 2.5時間の熱処理によってめっき皮膜は大きく変化し, ニッケル-鉄酸化物層, ニッケル-リンめっき層, 鉄の拡散層から成る複雑な構造となることが明らかとなった.