分析化学
Print ISSN : 0525-1931
Amberlite XAD-2 樹脂による水中微量有機物の抽出法の検討
篠原 亮太古賀 実篠原 純子堀 悌二
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1977 年 26 巻 12 号 p. 856-861

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抄録

XAD-2樹脂を用いてppb及びpptレベルでの有機物の抽出を試みた.ppbレベルでは,精製水51に多環芳香族炭化水素9種,脂肪族炭化水素7種,フタル酸エステル6種,塩素化ベンゼン9種,フェノール類4種,高級脂肪酸10種,高級脂肪酸メチルエステル6種,ステロイド類9種の各50μgを添加し,XAD-2樹脂に吸着させた後,ジエチルエーテル100mlで溶出させた.これを1mlまで濃縮し,水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフィー(GC-FID)で回収率を求めた.ppbレベルでの平均回収率は83%であった.
pptレベルでは多環芳香族炭化水素,脂肪族炭化水素,塩素化ベンゼン各100ngを51の精製水に添加し,抽出,濃縮を行った.定量はマスフラグメントグラフィー法を用いたが,この平均回収率は86%であった.
本法を水道水中の微量有機物の抽出に適用し,多環芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素について定量を行った結果,ビフェニル,アセナフテン,フルオレン,フエナントレン,クリセンが1pptから10pptの範囲で,n-ペンタデカンからn-テトラコサンまでの10種が3pptから30pptの範囲で定量された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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