分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
イオン液体塩橋を用いるpH測定 – 現状と展望
垣内 隆山本 雅博
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 65 巻 4 号 p. 181-191

詳細
抄録

適度な疎水性を持つイオン液体を塩橋に使用すると,濃厚KCl水溶液からなる塩橋では不可能であった低イオン強度水溶液のpHを正確に測定することができる.また,試料水溶液が疎水性イオンを含まなければ,pH標準緩衝液より高いイオン強度を持つ試料のpH測定にも,イオン液体塩橋は有望である.イオン液体塩橋は,水素イオンのみならずその他のイオンの単独イオン活量測定を広いイオン強度範囲で測定することを可能にするので,pH測定の実用的な観点のみならず,長年にわたる濃厚KCl水溶液塩橋を用いるポテンショメトリーの枠組みを越えた電解質溶液の研究が展望できる.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2016
前の記事 次の記事
feedback
Top