分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
電位差滴定に基づく醸造酢の酸度測定法の室間共同試験による妥当性確認
橋本 佳子忠田 吉弘鈴木 忠直安井 明美
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2008 年 57 巻 6 号 p. 453-459

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抄録

日本農林規格(JAS規格)の見直しに係る醸造酢の酸度の測定方法の検討を行い,次いで,検討した方法の妥当性確認のため室間共同試験を実施した.JAS分析法ではフェノールフタレインを指示薬とした水酸化ナトリウム溶液による滴定法を規定しているが,醸造酢の種類によってはフェノールフタレインでの終点が判断しづらい場合があるため,試料の採取方法等も含めてpH計及び電位差滴定装置を用いた方法を検討した.pH計と電位差滴定装置の比較試験では,醸造酢8試料を用い各5点併行で測定した.その結果,F検定では有意差が認められなかったが,t検定では有意差が認められる試料があった.しかしながら,その試料の平均値の差は酸度で0.01∼0.03% であり,JAS規格検査の分析には問題はないと判断されることから14試験所で6種類の試料を用いて共同試験を実施した.なお,pH計を用いた試験所は9箇所,電位差滴定装置を用いた試験所は5箇所とした.その結果,併行相対標準偏差(RSDr%)は0.10∼0.17% となり,室間再現相対標準偏差(RSDR%)は0.32∼0.48% となった.また,HorRatは0.11∼0.15となり,電位差滴定に基づく醸造酢の酸度測定法の妥当性が確認された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2008
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