分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
マイクロ多相流を利用する溶媒抽出法
青田 新北森 武彦
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2008 年 57 巻 4 号 p. 239-250

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抄録

分離技術として注目されたマイクロ化学チップは,現在では化学・物理・バイオなどの幅広い研究分野で注目されている.これらは化学システムのマイクロ化や化学プロセスの集積化のためのマイクロ流体デバイス開発を目指した研究であり,分析時間や反応時間の短縮・試料や廃液量の低減などの利点がある.溶媒抽出や反応などを含む汎用的な化学プロセスをマイクロチップ中で実現するためには,複数溶媒の制御が必要である.そこで,油水が平行に流れるマイクロ平行多相流を利用した化学プロセスが注目されている.しかし,マイクロ平行多相流はわずかな圧力変動で不安定化してしまうため,安定なマイクロ平行多相流を形成する技術開発が必須である.本稿では,マイクロ平行多相流の制御法とそれを利用した溶媒抽出法について,著者らの研究を中心に他グループの研究も踏まえて紹介する.まずマイクロ空間の基礎物理特性について説明し,基礎物理特性を利用した流体制御法について紹介する.次にマイクロ平行多相流の例とそれらを利用したマイクロ溶媒抽出法について紹介する.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2008
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