分析化学
Print ISSN : 0525-1931
水-酢酸-クロロホルム三成分系のpH依存相分離現象に基づく均一液-液抽出法
五十嵐 淑郎荒井 貴史川上 貴教
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 43 巻 12 号 p. 1183-1188

詳細
抄録

水-酢酸-クロロホルム三成分系において,pH依存相分離現象を利用した新しい均一液-液抽出法を開発した.まず,三成分溶媒系の相分離における最適操作条件を決定した{クロロホルム230μl(0.66vol%)と酢酸2cm3(5.71vol%)を含む均一水溶液に水酸化ナトリウム水溶液([NaOH]T=1.03moldm-3)を添加し相分離を行う.最終体積:35cm3}.又,あらかじめ添加するクロロホルムの量を調節することにより,水相(VW=35cm3)と析出相(VO=3.5μl)との体積比を一万倍とすることができた.モデル溶質としてα,β,γ,δ-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィンを選定し,本法を適用した結果,VW/VOが700のとき,分配比(D)は5600及び抽出率(E)は88.9%であった.更に,本法と8-キノリノール比色法を組み合わせた均一液-液抽出法では,飲料水中の鉄の定量に対し,良好な結果が得られた{鉄(III)-8-キノリノール錯体:VW/VO=700のとき,D=1230及びE=63.7%}.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top