1980 年 29 巻 2 号 p. 102-106
水,人工海水,重金属硝酸塩溶液中のμg量のリン酸を,酸化亜鉛粉末で定量的に捕集した.この分離方法は迅速簡便で,金属鉛中の微量ヒ素とリンの吸光光度定量に適用し,満足すべき結果を得た.試料を硝酸に溶解し,ヒ素とリンを酸化した。溶液の半分にEDTAを加えて鉛をマスキングした後,酸化亜鉛粉末でヒ素とリンを捕集し,粉末を塩酸で溶解した.モリブデン酸アンモニウムと硫酸ヒドラジンを加え,生成したヘテロポリブルーの吸光度(AAs+P)を測定した.溶液の他の半分についても同様の操作を行ったが,ヒ素は捕集後臭化水素酸で完全に蒸発除去した.得られた吸光度(AP)からリン量を求め,(AAs+P-AP)からヒ素量を求めた.定量下限は,鉛中0.02ppm,分析所要時間は約2時間であった.