法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
ラインナップ識別後の目撃者に対する肯定的フィードバック効果の検討
福島 由衣厳島 行雄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 14 巻 1 号 p. 98-106

詳細
抄録

近年、ラインナップから識別を終えた参加者に、その選択に対して確証を与えるようなフィードバック(例えば「いいでしょう、犯人を選びましたね」など)を与えると視覚的な記憶の質や鮮明さ、自身の識別に対する高い確信度を報告したり、裁判での証言をより快諾したりしやすくなるということがWells & Bradfield (1998)によって報告された。この現象はたとえ識別が正しくなかったとしても生じ得る。この現象を、識別後フィードバック効果(post-identification feedback effect)という。日本でもこの効果を検証するべく実験1ではWells & Bradfield (1998)の実験を行い、異なる刺激を用いても同じような結果が得られるかどうかを調査した。実験2では、半構造化面接を用いて検討を行った。そして、この効果を説明する選択的手がかりフレームワーク(Charman, Carlucci, Vallano, & Gregory, 2010)と本研究の整合性についての考察を行った。実験1では、約半数の設問で、確証的なフィードバックを受けた条件の方が記憶テストの評定が高く、Wells & Bradfield (1998)の結果を支持する結果となった。実験2では、実験1の結果とフレームワークを支持する参加者の報告が得られた。

著者関連情報
© 2014 法と心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top