法と心理
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飯塚事件の再審請求(<特集>法科学の可能性と危険性)
岩田 務
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2014 年 14 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

1992年2月、飯塚市内で、6歳の女児2名が登校途中に行方不明となり、翌日遺体が発見され、翌々日遺留品が発見されるという事件(飯塚事件)が発生した。1994年9月、DNA鑑定と繊維鑑定を根拠として、飯塚市内の54歳の男性、久間三千年さんが逮捕された。久間さんは、一貫して犯行を否認していたが、地裁、高裁、最高裁の各判決はいずれも死刑であった。2008年10月、判決確定後わずか2年で死刑が執行された。2009年10月に再審請求の申立が行われ、2014年9月現在、福岡高等裁判所において再審請求審の審理中である。これまでの審理において、(1)警察庁の科学警察研究所が実施したDNA鑑定において、データの改ざん、隠ぺいが行われていた事実が明らかとなった。(2)また、事件当日、遺留品発見現場付近にいた不審な人物と車を目撃したというT証人が現れたが、T証人の調書を作成する2日前に、調書作成担当の警察官が、なぜか久間さん宅を訪れ、久間さんの車の特徴に関する情報を集めていた事実も明らかとなった。

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© 2014 法と心理学会
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