文献サーベイの結果,現実的な視点から日系企業特有の行動様式や経営手法を無理なく説明することができる分析枠組みとしてRugman, Verbeke & Yuan(2011)らの論考に一定のインプリケーションがあることが明らかとなった。そこで,本稿ではASEAN5で活躍する日系自動車メーカーの域内分業についてRugmanらの子会社モデルに対し,既存研究への考察をベースに当て嵌めを行なった。分析によって,ASEAN5における日系自動車メーカーの子会社群が,進出国政府の様々な思惑が錯綜するなか,市場環境の変化に巧みに適合していることが分かった。