宗教研究
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大衆文化としての<イタコ> : 一九七〇~八〇年代のオカルトブームをめぐって
大道 晴香
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2013 年 87 巻 1 号 p. 105-129

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抄録

イタコは青森県から秋田県・岩手県に分布する民間巫者であり、マス・メディアによって、今やその存在は全国に知れわたっている。しかし、そうした認知度の高さとは裏腹に、民俗文化としてのイタコと、マス・メディアによって形成される大衆文化としての<イタコ>との間には、少なからず隔たりが存在している。本稿は活字メディアによって作られた言説を分析することで、一九七〇年代〜八〇年代における<イタコ>の実相について、特にオカルトブームとの関連から論じている。七〇年代に始まる日本のオカルトブームは、それまで「他者」の領域に追いやられてきた<イタコ>の宗教性を「オカルト」として再発見することで、「我々」の領域へと編入した。これは価値の転換であると同時に、<イタコ>の宗教性が大衆の消費対象化したことを意味する。こうした宗教性の大衆化こそが、大衆文化としての<イタコ>の定着において非常に重要な役割を果たしたと考えられる。

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© 2013 日本宗教学会
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