日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
論文
音響再生方式を考慮した聴覚臨場感推定モデルの構築
伊藤 将亮森勢 将雅小澤 賢司木下 雄一朗
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2016 年 72 巻 6 号 p. 306-314

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抄録

音の再生システムにより与えられる臨場感は,同一の録音・再生系を用いた場合でも対象となる素材によって異なる「コンテンツ臨場感」と,単一の素材を対象とした場合でも録音・再生方式によって異なる「システム臨場感」の二つの性質を有する。先行研究により,コンテンツ臨場感を時系列として推定するモデルは構築されたが,システム臨場感も考慮した臨場感を時系列として推定するモデルはいまだ構築されていない。このモデルの構築に向け,ダイオティック再生方式とバイノーラル再生方式の2種の音響再生方式を用い,臨場感を7段階の尺度により時系列として評価する聴取実験を行った。実験結果を基に,7種の音響特徴量を入力として,聴覚臨場感を推定するモデルをニューラルネットワークを用いて構築した。モデル出力と臨場感評価値の全体の平均誤差は7段階尺度における0.29となり,良好な結果であることを確認した。

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© 2016 一般社団法人 日本音響学会
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