化学と教育
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異常原子価 : 珍しい原子価をもつ有機および無機化合物(<特集>話題を探る)
秋葉 欣哉
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1994 年 42 巻 7 号 p. 472-477

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抄録

炭素の原子価は4価で, 鉄イオンはFe(II)とFe(III)の状態をとることはよく知られている。炭素の原子価を5価とし10個の最外殻電子をもつようには出来ないだろうか?鉄の酸化状態をさらにあげてFe(IV)にしたら面白い反応をするのではないか?これらの常識に対する挑戦は永い間化学者の夢をふくらませ, 興味を引きつけてきた。体温でリン酸化が起こるのは5配位リン化合物が中間体となるからである。酵素の作用や高温超伝導にも珍しい原子価をもつ無機イオンが重要な役割をしている。異常原子価はこれら常識的でない珍しい原子価をもつ化合物の化学の中心課題である。

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© 1994 公益社団法人 日本化学会
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