2011 年 59 巻 8 号 p. 398-401
環太平洋造山帯に位置する日本に火山性温泉が多いことはよく知られているが,近年温泉ブームを反映して,関東平野等の非火山地域で温泉開発が盛んに行われている。温泉水の多くは天水や化石海水起源であり,温泉水に含まれる溶存成分は起源となる水に由来するほか,地下を流動する過程で火山ガスを溶かし込み,また周辺の岩石と反応して,岩石中の各種物質を溶かし込んでいる。ここでは,地球科学的観点から,温泉に含まれる主要成分及び特殊成分の特徴を,起源と併せて概観する。