日本図書館情報学会誌
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論文
読書法の書籍における読書観の類型とその経年変化
志村 瑠璃
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2019 年 65 巻 4 号 p. 162-180

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抄録

 本稿では1946 年以降に出版された読書法に関する書籍の分析を通して,規範化されている読書観を類型化するとともに,その経年変化を概観した。分析においては読書目的・読書対象・対象読者の3 項目に着目し,各項目に関する記述に対して帰納的アプローチによる定性的コーディングをおこなった。類型化によって,対象読者は年齢・職業・読者自身の性質による分類がなされていること,読書対象は学問分野やジャンルによる分類の他に出版形式・内容への評価・読者に基づいた分類がなされていることがわかった。読書観の経年変化の検討では,次のことがわかった。読書目的では読書を人生あるいは自己の成長や形成に関わるものとする考えの定着と,教養を得ることから能力を得たり実践したりすることへの変化がみられた。読書対象では文芸の定着と,古典からビジネス書への変化がみられた。対象読者では若者から社会人への変化と,子供や小学生への対象拡大がみられた。

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