日本図書館情報学会誌
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論文
一般分類法における主類の選定と順序 : その哲学的および社会歴史的背景の考察
川村 敬一
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ジャーナル オープンアクセス

2004 年 50 巻 1 号 p. 1-25

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抄録

本研究では一般分類法の主類の選定と順序に関して,その哲学的および社会歴史的背景を考察する。このため1870年のHarrisの体系を起点に,現在までに考案され,単行本形式で出版された28の一般分類法(内訳は,普遍分類法11,統一分類法15,一館分類法2)を研究対象とする。一般分類法の主類は現実世界で確認される学問分野を基礎にしているが,世界観の相違と記号法の制約により,主類の数と順序は一様でない。さらに,一館分類法は自館の蔵書構成を反映し,国家の統一分類法はその社会歴史的背景を考慮している。普遍分類法だけが哲学的原理を保持している。筆者は体系の中心部が自然科学から始まるBrownのSC(1906), RanganathanのCC(1933), BlissのBC(1940), BCA/CRGのBC2(1977),およびUnesco/FIDのBSO(1978)が,進化論的発想に基づく普遍分類法の新しい系譜であると考える。これらは一般分類法における脱デューイの歩みでもあり,その歩みは1876年のDDCから数えて百年後に完結したのである。

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