日本フットケア学会雑誌
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特集:一から始める糖尿病フットケア
糖尿病足病変患者の体験
栩川 綾子
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2019 年 17 巻 2 号 p. 85-89

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抄録

【要旨】近年,糖尿病足病変患者が増加していることに加え,透析患者や患者の高齢化も伴い,重度の虚血性足病変患者が増加している.それにより,再発を予防することや治癒の難しさ,さらに切断の可能性が高くなることが推測できる.そこで入院治療を受ける足病変患者がどのような体験をし,どのような支援が求められているのか考察した.入院治療を受ける足病変患者は,それまでの緩い糖尿病療養や甘い考えを持っていた自分を責め,身体を失うことへの寂しさなどから苦しみ,自分の生活や未来を守るために踵が残せることに関心を寄せている.さらに,長い入院生活でストレスフルな状況にある.そのため足病変患者は,医療者とのかかわりを通して自ら置かれた状況を変化させようと主体的に動き出すのである.このような患者の体験であるからこそ,医療者は動き出そうとする患者を後押しすることが求められるのであり,それにはまず,足病変患者とかかわり,理解することが必要になる.その際に,身体に触れるフットケアは,双方の身体交流を生むことで,かかわりを促す装置として機能する可能性がある.

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© 2019 日本フットケア学会
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