日本生態学会誌
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特集 植生のリモートセンシング
3次元リモートセンシングによる森林構造の計測と解析(<特集>植生のリモートセンシング)
細井 文樹大政 謙次
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2014 年 64 巻 3 号 p. 223-231

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抄録

森林群落のもつ3次元構造は、森林生態系の機能を維持するためにきわめて重要な役割を果たしている。近年、スキャニングライダー(Light Detection And Ranging: LiDAR)を用いた3次元リモートセンシングにより、森林構造の計測が行われるようになってきた。スキャニングライダーは森林の3次元点群データを取得可能な装置で、得られたデータをもとに、様々な森林構造パラメータを算出することが可能である。本稿ではスキャニングライダーシステムを使った森林構造計測の概要について、具体的な応用事例を交えながら紹介する。応用事例としては、森林の3次元構造を表す指標の一つである葉面積密度の垂直分布の推定法について紹介する。本方法では、可搬型スキャニングライダーデータをもとにレーザービームの光跡をトレースし、その情報を用いてボクセルモデリングを行い、得られたモデルからレーザービームの衝突頻度を計算し、その垂直分布を算出する。さらにもう一つの事例として、可搬型スキャニングライダーデータを用いた樹木の材積の推定法について紹介する。本方法では、落葉期にライダーによる計測を行い、得られたデータから、幹や枝の内部を充填するソリッドボクセルモデリングを行い、ボクセル数をカウントすることにより、任意の部位の材積の推定を行う。これらの方法を広葉樹群落に適用した場合の結果について述べる。

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© 2014 一般社団法人 日本生態学会
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