日本生態学会誌
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特集 三宅島2000 年噴火後の生態系の回復過程
三宅島の火山灰堆積地における発達程度の異なる植生が炭素蓄積量と土壌構造発達に与える影響(<特集>三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
川越 みなみ上條 隆志田村 憲司
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2011 年 61 巻 2 号 p. 203-210

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抄録

三宅島2000年噴火火山灰堆積地における植生-土壌系の初期発達過程を明らかにする一環として、植生と土壌の炭素蓄積量、土壌微細形態について、発達程度の異なる植生が成立する地点間で相互比較をした。植生の発達程度と土壌有機物層の厚さには対応関係がみられ、表層の土壌微細形態も亜角塊状構造から団粒内孔隙に富む小粒状構造、軟粒構造へと変化した。これらの変化には、植物体による新鮮火山灰への有機物の付加や土壌動物の活動が関与していると考えられた。2000年の噴火から8年経過した火山灰堆積地における炭素蓄積量は、325g/m2から3010g/m2であり、乾土あたりの表層の全炭素含有率は、0.34%から1.03%であった。植物体と土壌で炭素蓄積量を比較すると、植生が発達した地点ほど、植物体が占める炭素蓄積量の割合が大きくなった。

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© 2011 一般社団法人 日本生態学会
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