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父親の環境ストレスの遺伝:哺乳動物を例として

Inheritance of paternal environmental stress in mammals
吉田圭介,石井俊輔
Keisuke Yoshida1)/Shunsuke Ishii2):RIKEN・BioResource Research Center(BRC)1)/RIKEN・Cluster for Pioneering Research(CPR)2)(理化学研究所・バイオリソースセンター1)/理化学研究所・開拓研究本部2)
10.18958/6757-00001-0000708-00

「親の環境が次世代の形質に影響を与えるか?」という問いは,進化学だけでなく,疾患発症メカニズムの解明など多くの分野に関係しており,生物学全般に当てはまる課題である.2000年代になって,ゲノムDNA配列によらない遺伝子発現の制御メカニズムとして,エピゲノムが明らかになり,前述の問いの答えが徐々に明らかになってきた.本稿では,特に哺乳動物において,父親のストレスの影響が次世代へと遺伝するメカニズムについて,実験学的・疫学的データとともに,提唱されている仮説を紹介する.また,ストレス応答性のエピゲノム制御因子であるATF7を介した,父親ストレスの遺伝現象のメカニズムについて解説したい.

ATF7,環境ストレス,エピゲノム変化,精子ヒストン

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