ゴムの硫黄加硫の促進助剤として、酸化亜鉛(ZnO)が用いられる。ZnO は加硫過程における熱により配合された加硫促進剤などと反応することで種々の亜鉛化合物に変化し、加硫反応や架橋構造形成に関係していると考えられてきた。しかし、その加硫過程における ZnO の反応機構や拡散については未だ良く分かっていない。今回、ZnO および亜鉛化合物の反応生成物とその拡散について XAFS-SAXS 逐次計測により調査することを目的に実験を行った。XAFS-SAXS 逐次計測の技術を検討した結果、加硫反応前の XAFS および SAXS データがこれまで別々に測定してきたデータと同等という妥当な結果が得られ、本技術は確立できたと判断した。しかし、ZnO から StZn や ZnMBT への変化量が少なく ZnO の非常に大きな散乱強度にこれら化合物の散乱強度が埋もれているため、亜鉛化合物の拡散過程の情報を得ることは困難であった。