サイトメトリーリサーチ
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総説
肺腺癌におけるCortactin発現検討とその分子生物学的意義
原田 明希摩小泉 潔平田 知己平井 恭二山岸 茂樹川島 徹生榎本 豊川本 雅司清水 一雄
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2006 年 16 巻 1 号 p. 55-59

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抄録

Cortactin(EMS-1)とは,細胞骨格,細胞分化,及び細胞接着に対して重要な役割を果たしている遺伝子であり,F-actinや微小管などの因子との因果関係についても報告がある。現在までに多数の癌でのover-expressionが報告されているが,詳しい作用機序などは未だ不明である。そこで今回,私達は肺腺癌におけるCortactinの発現量と,作用について検討を行った。はじめに,肺腺癌におけるCortactinの発現を調べたところ,免疫染色とRT-PCRによって正常部に比べ高率に強発現がみられた。そこで次に,肺腺癌細胞を用い,機能解析を行った。si-RNAを用いてノックダウン細胞を作成し,実験を行ったところ,F-actinの減少による運動能の低下がみられた。重ねて,Microtubeの局在変化が顕著に見られた。 以上より,肺腺癌においてCortactinがF-actinのbinding factorとしてだけではなく,Microtubeの関連遺伝子としても働いていることが示唆された

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