太陽光発電システムが持つ上記の特徴は,電源構成の豊富さや新規雇用創出といったメリットを社会にもたらす一方,ハザードをも内包している.各種構成要素から発生するリスクとして,電気火災,電気感電,構造物飛散,設計・施工時の人身事故などが想定される.太陽光発電システムを本格的にエネルギー源として利用するためには,メリットをより拡張しつつ,これらリスクに関して,個人財産および公衆安全の観点から許容可能なところまで低減する必要がある.本稿ではこれらのリスクのうち,直流電気火災に注目し,事前の火災防止・抑止の観点と,発生後の消火活動における消防士保護の観点におけるリスク等を概説することで安全工学の研究者の方々と太陽光発電システムの現状について情報共有することを目的とする.