2002 年 41 巻 6 号 p. 364-370
リスクという言葉が社会の中で身近なところでも使われるようになり,安全性や安全投資を判断する際の指標として利用されるようになってきている.リスクは基本的には定量的な指標であり,これによって安全性の直接的な比較が可能となる.リスクの許容という観点から,数多くの先進国においては産業施設などにおける安全レベルが定量的な目標値として策定されたり,基本思想として策定されたりしている.このような安全目標はリスクマネジメントの一環として策定されており,多くの場合,安全目標に則ってリスクマネジメントが行われている. 本稿においては,社会環境に存在するさまざまなリスク源を対象としてリスクレベルの現状を把握し,リスクベースの定量的安全目標の考え方について解説した.