1987 年 26 巻 6 号 p. 340-345
1976年イタリアのセベソで起こった,反応暴走によるTCDDの放出と,それによる汚染状況を概観し,事故時のプロセスの状況,事故原因について述べた.運転規則に違反した行為があったことも事実だが,それまで230。C以下であれば安全とされていた反応混合物が,それよりもずっと低い温度でなぜ暴走したかについての理由は不明であった. ここでは,その後に行われた反応混合物の性質の解明の過程を紹介し,中間物を含む物質の物性を十分に把握することの重要性を示した.