背景.軟性気管支鏡の性能は飛躍的に向上し,各種挿入デバイスの開発とともに多様な手技が可能となった.一方で挿入デバイスを駆使する鉗子孔は未だ単一のままであり,2本のデバイスの同時使用は不可能である.目的.鉗子孔を増設するために,消化器内視鏡領域で既に市販されている鉗子孔の外付けアタッチメントを軟性気管支鏡用に改良し,デュアルチャネル化軟性気管支鏡の有用性について検討した.方法.ブタの肺を用いた気道インターベンショントレーニングキットを使用し,2本のデバイスの同時使用による異物除去や手技の検討,中枢気道病変生検後の出血に対するアルゴンプラズマ凝固や吸引手技の検討を行った.また,シリコンステント留置後にmigrationを生じた患者において,その位置調整に使用した.結果.異物除去の検討では2本のデバイスを同時に駆使することで,異物把持の安定性が向上した.鉗子生検後の出血に対するアルゴンプラズマ凝固や吸引手技の検討では,シングルチャネルに比べてデュアルチャネルで有意に手技時間の短縮を得ることができた.ステントの位置調整でも,把持力が向上し,短時間で安定的に手技を遂行することができた.結論.軟性気管支鏡のデュアルチャネル化が,気管支鏡手技において有用である可能性が示唆された.これまで硬性鏡手技を必要としていた一部の手技に対して補完的な役割を担うことができる可能性があり,今後,症例を重ねて検討していく必要がある.