気管支学
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閉塞性肺炎を伴った粘表皮癌に対し鏡視下区域切除術を施行した1例
日野 佑美梶 政洋堀内 翔宮原 尚文小林 零末舛 惠一
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2013 年 35 巻 3 号 p. 281-284

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抄録

背景.反復する閉塞性肺炎を伴った粘表皮癌の1手術例を報告する.症例.39歳女性.肺炎を発症した際に施行したCTで左肺腫瘍を指摘され精査加療目的に紹介となった.画像上B^<10>内腔に突出した腫瘤性病変と考えられ,気管支鏡検査を施行したが確定診断に至らなかった.経時的に増大傾向を示しており,悪性腫瘍の可能性を疑い手術を施行した.術中迅速病理診断で粘表皮癌の診断となった.低悪性度の腫瘍であることから,縮小手術の好適応と考え左底区域切除・リンパ節郭清術を行った.術後経過は良好であった.結論.粘表皮癌は比較的稀な腫瘍であり,腫瘍の好発生部位・形状などの特徴から閉塞性肺炎を伴うことがある.繰り返す閉塞性肺炎症例の中には,本症例のように中枢気管支の腫瘍性病変が要因となることもあることを認識しておく必要がある.また,低悪性度腫瘍であれば縮小手術のよい適応であり,その適応について積極的に考慮する必要があると考えられた.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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